2013.02.19/富山県南砺市(旧城端町)

おもてなしの心が里山の未来を照らす

オーベルジュ 薪の音 館主 / 山本誠一
オーベルジュ薪の音 館主 山本誠一

一日3組限定、里山のオーベルジュ「薪の音」館主として、できることは。

「里山」とは、人間に管理されている山や自然のこと。 決して大自然ではなく、かといって環境に大きな影響を与えているわけでもない。 自然と人とがほどよいバランスを保って、共に生きている。 富山県は南砺市(旧城端町)、野口集落に里山のオーベルジュ『薪の音』はある。 「えっ、こんなところにあるの?」というような、五箇山の麓、里山のど真ん中。 その控えめな佇まいは、うっかりすれば地元の人でも見落としてしまうほど。 そんな場所に全国から予約が殺到しているというのだから驚きだ。
野口集落

『薪の音』がある野口集落近辺。人と自然が共存している様子が伺える、里山の風景。

館主の山本誠一さんが、この里山のオーベルジュを始めてから、今年で9年目をむかえる。 「宿を始めた時から、宿の基盤ができあがったら、次は集落主体の活動をしたいと考えていました」 と語る山本さん。 『薪の音』のコース料理に、地元の野菜を使うことも多く、野菜が育った場所(=野口)をもっと知ってほしいという想いが大きくなったことも要因のようだ。

「野口は里山としては十分魅力的ですが、今の時代、それだけでは弱いと思っていて。 県外からお越しのお客様にもっと楽しんでいただけるような、買ったり、飲んだり、食べたりできるような、 観光地化とまでいかなくても、なにかしら散策の目的がなくては。 その一環として地元の特産品を加工して新しい商品を作ろうと、今企画しているところです」

干し柿アイス

『薪の音』で提供している地元の特産品、干し柿で作ったアイスクリーム。素朴な甘みが人気で、現在商品化を進めている。

こんな時代だから考える、未来の里山のカタチ。

国全体の問題である少子高齢化。 野口集落も例外なくその影響を受けている。 「今は大丈夫でも、10年後、20年後はどうなっているかわからない、 というより、今より深刻な状況になるのは確かです。 結果が出るまでに少なくとも10年かかるとすると、 行動をおこすタイミングとして、今が限界かなと。 野口集落の里山が少しでも元気なうちに、外部から見ても魅力的な場所にしなければなりません。 そのためには、私たちの世代が率先して行動しなくてはね。」 しっかりした未来のビジョンをもっている山本さん。 『薪の音』を成功に導いた手腕、今後田舎楽園でどう発揮されていくのか、お見逃しなきよう。
里山のオーベルジュ薪の音 〒939-1844 富山県南砺市野口140 0763-62-3255 http://www.makinooto.co.jp/
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